
自由診療だけで歯科医院を運営すると、治療価格を自分で決められ、保険請求を待たずに現金が入る 高粗利・キャッシュ即日化 の強みを得られます。一方で集客に苦戦しやすく、医療ローンや広告規制などの壁もあります。本ガイドでは、インプラントや矯正といった自費治療の平均価格、資金計画の作り方、集患マーケティング、保証とリスク管理まで、自由診療専門医院を黒字化へ導くポイントを順に解説します。
自由診療オンリー開業とは?
保険医療機関との根本的な違い
保険医療機関は治療点数を国が決め、診療報酬の入金は約2か月遅れです。自由診療専門院は価格を自院で設定し、治療完了時点で直接支払いを受けられるため、売上の入金スピードが速く資金繰りが安定します。
自由診療専門に必要な届け出・法的要件
保険を使わないクリニックでも、都道府県への開設届や標榜科目の登録は必須です。また医療広告ガイドラインに沿った情報発信義務があり、治療名・費用・リスクを明示しなければ行政指導の対象になります。
自由診療のみで開業する5つのメリット
- 価格自由度と高粗利モデル
- インプラント:平均35〜40万円
- ワイヤー矯正:平均75万円
- マウスピース矯正:平均62万円
材料費を差し引いても高い粗利率を確保できます。
- 診療時間・患者数を絞った働き方改革
高単価治療を中心にすれば、1日の患者数を抑えても売上目標を達成でき、労働時間を短縮しやすくなります。 - 高品質材料・先進機器を採用しやすい
CTや口腔内スキャナなど高額機器のROIを短期間で回収しやすく、最新技術を積極的に導入できます。 - キャッシュフローの安定化
保険請求による入金待ちがなく、治療完了と同時に入金されるため資金繰りがシンプルになります。 - スタッフ少数精鋭で人件費最適化
予約制で回転率を低く設定できるため、受付1名・衛生士1名・カウンセラー1名の3名体制で運営する成功例もあります。
見落としがちなデメリットとリスク
リスク | 内容 | 対策 |
---|---|---|
集患難度の上昇 | Web広告やSNS運用に月数十万円かかる | ターゲットと広告ROIを明確化 |
医療ローン・未収金 | 審査落ち・支払遅延の可能性 | BNPL立替型で未収ゼロ化 |
クレーム・保証コスト | 再治療保証でコスト増 | 保証条件を書面で明確化 |
広告ガイドライン違反 | 不適切な症例写真で行政指導 | リスクと副作用を併記 |
収益モデルと単価設計
主力治療の平均単価
- インプラント:35〜40万円
- ワイヤー矯正:75万円
- マウスピース矯正:62万円
- セラミッククラウン:12〜15万円
メンテナンス“サブスク”でLTVを伸ばす
年間3.6万円の定額メンテプランで継続率85%を維持する医院もあります。
KPI例
月20件 × 単価35万円 - 材料技工費(20%)= 粗利約560万円
毎月KPIを確認し、未達なら広告やカウンセリングを改善します。
資金調達・キャッシュフロー計画
- 初期投資圧縮:機器をリース化し、開業費を4,500万円→1,500万円へ削減した例あり。
- 外注ラボ活用:大型ミリングマシンを購入せず技工を外注し、投資回収期間を1年短縮。
- 税務対応:自由診療は課税売上。インボイス制度対応で仕入控除を適切に管理。
集患&ブランディング戦略
- Web・SNSマーケ:Instagramで週3投稿しフォロワー1万人超、月30件の問い合わせ実績。
- Googleレビュー:★4.5以上を維持し口コミ経由新患62%。
- 医療ローン提案:ローン案内で成約率18%→32%。
スタッフ採用とオペレーション
- 衛生士の自費提案研修で月売上45→78万円/人
- TC配置で自費成約率+15pt
- 受付1・衛生士1・TC1で月商1,200万円の例
品質保証とリスクマネジメント
- 保証書発行で再製作率0.8%
- 同意書にリスクと保証を記載し訴訟リスク軽減
- ★3以下アンケートは24h以内フォローでクレーム半減
成功事例
- 都市型インプラント院:月成約40件×37万円で年商2億円。
- 地方予防・審美特化院:人口7万人の街でLTV35万円/人。
まとめ|自由診療オンリーで黒字化するチェックリスト
- インプラント・矯正・審美の平均単価を把握
- 定額メンテプランで継続収入を確保
- 設備リースで初期投資を1/3に圧縮
- インボイス制度で仕入控除を管理
- TC配置とローン提案で成約率30%以上
- 保証書・同意書でトラブルを予防
このチェックリストを実行すれば、保険ゼロでもキャッシュフローが安定し、高利益の自由診療モデルを構築できます。